竹田和平さん。

和製バフェットの異名もある投資家・竹田和平さんが7/21にお亡くなりになったそうです。
春先にTV出演しておられる姿を拝見し、まだまだお元気そうな印象を受けましたが、突然でしたね。

私とは共通の保有銘柄も多く、株式投資そのものに対する考え方も共通点が少なくありませんでした。
というか、私は竹田さんからいろんな面で少なからぬ影響を受けています。

「株主になるというのはその企業の大旦那になるということ」
「畑を買って、その地価を毎日気にしている百姓なんていない。
 気にするのは、その畑から毎年どれだけの作物がとれるかだけだ」

うろ覚えで正確ではありませんが、こんな趣旨の発言に感銘を受けた覚えがあります。
日々の株価変動に一喜一憂することなく、長期投資に取り組む有用性をいつも説いておられました。

また、弟子入りを熱望する投資家への教えの話は個人的に一番好きです。

具体的な銘柄発掘法・分析法や取引手法の話は一切なしで、与えた教えはただ一つ
「ありがとう、と毎日100回言いなさい」

これをどう解釈するか、は人それぞれでしょうし、ご本人がどういうおつもりで言われたのかは今となってはもう確かめるすべもありませんが、私は究極的にはポジティヴシンキングの重要性の話なのかな、と受け止めています。

どれほどの幸運に恵まれて今の自分があるのか。
当たり前に感じてしまっていることの一つ一つが、よく考えてみればどれほど幸運なことなのか。
それをしっかり認識し、感謝の気持ちを持つことができれば、どんなことでもそれなりの成功は収めることができる。

極端な話、今の時代の日本に生まれたことがどれほど幸運なことか。

世界に目をやってみれば飢餓や貧困、一党独裁や凶悪犯罪など、明日、生きていられる保証などない人は少なくありません。

パレスチナに生まれていたら。
中国やインドの貧困層に生まれていたら。
ブラジルのスラムに生まれていたら、果たして将来に何の希望を見出すことができたことか。

そんな中で、治安は世界有数の安定度で民度もそれなりには高く、水と安全がタダ同然で国民の大多数が空腹はあっても飢餓に直面した経験を持たない国。
大学進学が当たり前で各種インフラやセーフティネットもそれなりには充実しており、何の資格もスキルもない中卒フリーターでもただのコンビニバイトでも時給1000円もらえる国。

自分がどれほど幸運に恵まれているのか、をしっかり認識できていれば、どんなことにも前向きに取り組めるはずですし、その結果、それなりの成果は得ることができるはずです。
間違っても「自民党が〜」「大企業が〜」なんてひがみや責任転嫁に逃げてしまうことはなくなるでしょう。

自分の恵まれ過ぎているくらいの幸運を認識し、感謝し、そのうえで襲ってくる多少の不運はありのままに受け入れ、その上で前向きに自分にできることをしっかりやる。

たったそれだけで、それなりの成功は得られる国に生まれたんだと、少なくとも私は感じています。



また、新規銘柄を発掘し、検討していく中で大株主欄に「竹田和平」の名を見つけた時はちょっとうれしくもあり、ちょっと安心感もあり。

個人投資家羅針盤になりたい」
なんてことも言っておられましたが、少なくとも私にとってはかけがえのない羅針盤でした。


一度だけでも直接お会いして、話をさせていただく機会がほしかった。
本当にそれが心残りでなりません。


日本の歴史に残る、本当に偉大な投資家でした。
心からご冥福をお祈り申し上げます。