日経新聞記事「海外ETF」

昨日の日経新聞朝刊で海外ETFについての記事がありました。

こんなマニアックな商品がとりあげられるようになるとは、時代も変わった感がありますね。
ただ、記者の知識不足なのか、内容はかなり残念な仕上がりになってましたが・・・。


まず最初に気になったのは信託報酬についての「海外ETFでは1%を下回るものが多く、長期保有のメリットが大きい」という記述。
1%を下回った程度ならわざわざ高い売買コストと手間をかけて投資する意味はないですよね。
新興国で0.3%とか、先進国なら0.1%を大きく下回るようなコストで保有できる、
その圧倒的な安さを強調してほしかったかな、と。


記者の理解不足というか、明らかに間違っているのは「上場する国の通貨で取引するため、円高で為替差損が発生するリスクもある」という点。
為替リスクは投資対象通貨に対して発生するんで、ここは完全に間違いですね。

例えばインドETFに投資するなら東証上場の円建ETFだろうがNY上場のドル建ETFだろうが関係ありません。
仮にドル建で投資していてドルが円に対して暴落したとしても、同じくルピーに対しても暴落しますので円建に直した価格は変わりません。
インドETFであれば、為替リスクはあくまでも円とルピーの間で発生するんですから。


あと、間違いではないんですが、全く意味がないというか、「何だこれは?」と思ったのは「定期的にポートフォリオのリバランスをすることも必要」という専門家のアドバイス
株式ETFを売って債券ETFを買うだけで50ドル以上ものコストが発生するのに1年毎とか、資産配分が1割歪んだ程度でリバランスしてたら手数料だけでマイナスになってしまいそうですよね。
いったい、誰に対するアドバイスなんだか。

別に全資産を海外ETFに突っ込んでるわけじゃないですし、リバランスはもっとコストのかからない円建部分の中で考えますので、そのアドバイスは数億円規模で投資してる人に言ってあげてくださいな。


何よりも、この記事を読んで「自分も海外ETFに投資してみよう」と考える人も出てくるかもしれない、ということを考えれば、税制面について書いてないのは無責任ではないのか、とも思います。

現地との税制面の違いについての注意点も全てを網羅する必要はないにしても一言くらいは言及があるべきでしょうし、分配金にかかる税金の計算・手続きの面倒さときたら。

事前にわかってれば私は海外ETFに投資してなかったかもしれません。
確定申告では2時間近くかかった挙句、職員さんには「来年はもっとヒマな2月中に来てください」って言われてしまいましたし(汗)。



はっきり言って、日経新聞そのものの質を低下させるような、きわめて低レベルな記事だったと思います。
記者の方、もうちょっと頑張ってくださいね。



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