クロス取引は「乞食」の投資法?

他の方のブログを拝見していて、こんなコラムに出会いました。

http://ameblo.jp/newtaro21/entry-11214751649.html

過激な問題提起で賛否両論ありそうですが、炎上覚悟で(?)このコラムを提示された勇気には素直に拍手を送りたいと思います。


私自身は現物バイ&ホールドのみでクロスは全くやりませんので、感情的には、この方に共感できるところも少なからずあります。
でも、「賛」か「否」か、と問われれば8〜9割くらい「否」ですね、たぶん。


まず大前提として、クロス取引でもなんでも「制度として認められているんだから大いに利用すればいいのでは?」という気持ちはあります。
それを合理的ととるか「乞食」ととるか、は人それぞれ。
価値観の違いとしか言いようがありません。


ただ、「これは違うんじゃないの?」と思うのは「会社に優待出させてダメージ与えているだけ」という部分。

新規に発行される株式ではなく、市場で流通する株式を購入するわけですから、会社にダメージは与えてないですよね。
他の誰かから買うわけですから、自分が優待の権利を取らなければその「他の誰か」が優待を受け取るわけで、会社が優待に支出する費用は変わりません。

「会社が自衛する」必要は全くないんですよね。
クロス取引によって会社には別に何の損害も発生していないわけですから。


株主総会でおみやげだけもらってさっさと帰る人についても、私は別に気にならないです。
まぁ「おみやげは総会終了後」って言われてゴネ倒すクレーマー、とかはさすがに人としてどーなの? とも思いますけど、他の参加者に迷惑をかけなければいいんじゃないのかと。
会社が「株主様への感謝の気持ち」としてプレゼントしてくれる、って言ってるんだからもらっておけばいいんじゃないの? と軽く考えてます。

むしろ千円のクオカードをもらうために電車で往復1時間以上かけて行く人とか見ると、「その時間を使ってバイトした方が得なんじゃない?」と思ってしまいます。
(裏返せば、その点を本人が気にしないなら別にいいんじゃない? とも)


株主優待は1年間会社と共に業績や株価の変動に一喜一憂しながら過ごした株主に対して感謝の気持ち、共に戦った証として贈られるものであるべき」という主張は気持ち的には、かなり賛同できます。そうであってほしいです。
でも、それは違うんです。

言うまでもありませんが、現状、株主優待は「共に戦った証」ではなく、「権利日時点で保有していた株主」に与えられる権利なんですよね。それ以上でも以下でもなく。



似たような議論にデイトレードに関するものがあります。

私と同じスタイルでやっている方の中にはデイトレーダーはじめ短期売買な皆さんを毛嫌いしているような方も時々見かけます。
そういえばデイトレーダーを「堕落した株主」なんて言ってのけた経産省幹部もかつていましたよね。

でも、私はデイトレードもシステム売買も全面的に肯定しています。
自分がやろうとは全く思わないですけど。

彼らの存在は市場に多様性と、そして流動性をもたらしてくれます。

私のようなバイ&ホールドの投資家が死滅しても、彼らは勝手に生きていくでしょうが、彼らが死滅してしまえばバイ&ホールドやバリュースタイルの投資家は同じく死滅するしかありません。
だってホールドする以前に、買いたい株を買うことができなくなってしまいますから。
(私が買いたい株を、私が買いたいと思う価格で売ってくれる方はバリュー投資家の中にはおられないでしょうしね)


デイトレードでも、クロス取引でも、何でもいいんじゃないでしょうか。
市場に多様性は大切です。
彼らは多様性とともに流動性をもたらし、そして証券会社に手数料収入をもたらしてくれます。

私のように「手数料を払うのは買ったときだけ、あとは持ちっぱなしで証券会社には1円も払わない」(そして10万円以下は松井証券を利用してその1回だけの手数料も払わない)なんていう投資家ばかりになれば証券会社は存続していけません。
そして証券会社が存続できなくなって株式市場にアクセスできなくなったら私は本当に困ってしまいます。

デイトレーダークロス取引の皆さんが薄く広く、証券会社に手数料を払ってくれるおかげで私が株式投資をできるインフラが維持でき、私はその恩恵にあずかっています。

むしろ「乞食」と非難されるべきは私かもしれませんね(笑)。



というわけで、私の結論は
「いろんな投資スタイルがあっていいんじゃないの?」
「違法なことをやってるわけじゃないんだから、そんなに目くじらたてなくてもいいんじゃないの?」
って、感じでしょうか。


ついでに言っておきますと、「『クロスで優待取得しました!!』と自慢している人」も消えてもらっては困ります。
こういう皆さんの画像つきの日記で優待の内容をより詳しく知ることもできますし、そういう優待銘柄の存在を知ることもできます。
サラリーマンの身では自分で収集できる情報量は限られていますし、貴重な情報源として重宝させていただいています。

実際、私の優待コレクションの半分以上はこういう他の皆さんのブログで知った銘柄ですしね。




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