世の中にはね。相場環境ってもんがあるんですよ。

証券会社や各種マネー誌なんかで億の大台に到達した成功者の皆さん、いわゆる「億り人」の特集的なものをよく見かける昨今ですが。

投資家歴の浅い方にとって、そんな成功者の話はいろいろと参考になることがあるのかもしれません。



でも、一つだけ勘違いしないでいただきたいこと(そして少なからぬ方が勘違いしておられること)があります。




それらの皆さんの投資手法を、そのままマネしたってうまく行くとは限らない、というかうまく行く可能性はあまり高くない、ってことです。


言うまでもありませんが、ここ数年内で億り人に到達した皆さんは多かれ少なかれ、アベノミクスの恩恵を全身で受けておられます。



日経平均が1万から2万超にまで一気に駆け上がったその相場環境下での成功話が、その2万超からもう一回同じように再現される可能性がどのくらいあるものか。
その投資手法をそのままマネすることにどのくらいの効果が見込めるのか。
ていうよりむしろ、その投資手法をそのままマネすることにどのくらいのリスクがあるのか。


「よ〜し私も億り人でアーリーリタイヤ!!」
とか鼻息荒くする前に、一回頭を冷やして考えてみることも必要なのではないでしょうか。



もちろん幅広く知識を学ぶ勉強の一環として、そういう皆さんの話は聞いておいて損はないでしょう。
でも、そういう相場環境の違いはしっかり認識した上での勉強でなければ、
「生兵法ケガのもと」
を地で行く結果になりかねません。




今、優先して学ぶべきは、坂を駆け上がる、その波に乗る手法でしょうか?
それとも崖下転落時に被害を最小限にとどめるノウハウでしょうか?





もちろん相場の行方なんて誰にも分かりません。

日経平均もここから方向転換して3万円を目指すことだってあり得るでしょう。



でも、何度も書いてますけど、相場で生き残るために必要なのは予想を的中させることではありません。
いろんな可能性を想定し、どっちに転んでも死なない態勢をキープすることです。

少なくとも、現状では崖下転落への備えは絶対にしておくべきでしょう。




備える手法はそれこそ千差万別。
いろんな考え方があるでしょうが、そういうのをいくつかしっかり学んで、自分にあった手法をアレンジする努力をしなければなりません。


そしてその、自分にぴったりマッチした、自分だけのスペシャルノウハウは、そう簡単には見つかりません。
いろんな手法を参考に、自分の頭でしっかり考えながら、時間をかけてトライ&エラーで微調整しながら、少しずつ完成形に近づけていくしかありません。





私自身はといえば、もちろんいろいろと自分なりに考えていることはあります。



リーマンショックはそれ以前の常識を根底から覆されるような、強烈な体験でした。

あの大嵐を経験して、私の投資家としてのレベルは大幅にアップしたと思ってます。



それを踏まえてあれこれ考え、その後もトライ&エラーを続け、

「こうすれば次の大嵐にもうまく対応できるのではないか」
と考えている作戦はいくつかあります。



でも、それが本当に機能してくれるかどうか、は実際に次の大嵐が来た時にしか分かりません。

それを踏まえて、また新たな微調整を加え、さらに精度を高めていくだけ。
その繰り返しで、また投資家としてのレベルも上がっていくんです。


そう、「投資家としてのレベルは大幅にアップ」はしましたけど、まだまだ一人前と胸張って言えるレベルにはほど遠いのも厳しい現実。

投資家としてのレベルアップ&自分だけの投資手法の精度アップ。

その努力はたぶん一生続きます。
きっと本当の完成形には死ぬまで到達できないでしょう。



でも、いいんです。
完成形に到達しなければ成功できないわけじゃないんですから。



株式市場は基本、誰でもそこそこは勝たせてくれる幸せの世界です。
時々襲ってくる大嵐で、それまでの勝ち分も元本もまとめて持っていかれて一発ゲームオーバーなんてことも起こりますが、そこで死ななければまたそこそこ勝たせてもらえます。

そう、死ななきゃ生き残れる、それが株式市場ですから。



リーマンショック前、どんな投資手法をとっていた人が今も生存できているのか。
どんな投資手法をとっていた人がゲームオーバーに追い込まれたのか。


億り人を目指す前に、そんな辺りに興味を持ってみた方がいいんじゃないかなー  なんて思ってみたりするわけであります。



株に限らず、例えばカボチャの馬車で死にかけの皆さんも、アーリーリタイヤの夢を見る前にちょっとだけでもリスクを洗い出す努力をしてれば、あんなわかりやすい落とし穴にはまることはなかったと思うんですけどねー。









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