エコノミスト誌にバフェットさん記事が。

株式投資理論の世界では、ある銘柄が市場の平均よりも価格変動が激しいことを「ベータ値が高い」というそうです。
ベータ値が高い銘柄、すなわち、よりハイリスクハイリターンな銘柄とベータ値が低い銘柄ではどちらに投資すべきなんでしょうか?

もちろん個人の好み・リスク許容度の問題や資金規模の問題もあるでしょうし、一概には言えないでしょう。
私自身は新興国株にも積極的に投資していますし、どちらかと言えば、高ベータ銘柄の方が好みです。

バイ&ホールドスタイルで投資していることもあり、「落ちるときにはより激しく落ちる=より安値で購入できる」点が一番うれしいところかも。

それに「ハイリスクハイリターン」という言葉からもわかるとおり、一般に投資家は高ベータ銘柄にはより高いリターンを求めるのが当然です。


ところが統計を見ると、低ベータ銘柄の方が長期的には高いパフォーマンスを示すことが多いことも知られています。



そうなると当然考えられるのはレバレッジ戦略。
高ベータ銘柄に投資するよりも、低ベータ銘柄にレバレッジをかけて投資する方が高いリターンを見込める可能性がある、ということになります。

ただ、現実には理論通りにはいきません。

個人投資家に投資資金を貸してくれる金融機関なんて聞いたこともないですし、信用取引では手数料も金利もかなり割高になってしまいます。
ヘッジファンドのような存在もありますが、彼らにせよ、より高いレバレッジをかける不動産デベロッパーにせよ、一時的に不調(低迷局面)に直面した場合、そこで資金繰りが厳しくなる、場合によっては破綻してしまう、という致命的な問題があります。


しかし、この問題を乗り越え、低ベータ銘柄へのレバレッジ投資で大きな成果を挙げ続けているファンドが存在するそうです。



ここまで読んで、そのファンドの名前をパッと思い浮かべられる方はどのくらいおられるでしょうか?
おそらく株式投資をしている人ならだれでも知っている名前だと思いますが・・・








その「ファンド」の名はバークシャー・ハザウェイ
そう、あのW.バフェットさん率いる会社です。
(正確には「ファンド」じゃないですけどね)



エコノミスト誌の9/29号に興味深い論文が紹介されています。

ニューヨーク大とAQRキャピタルマネジメントの研究者の論文で、バークシャーの好成績の秘密を解析しようとしたものです。

バフェットさんが変動が激しく、対象企業の長期的な優位を見通しにくいハイテク業界を避け、コカコーラやP&Gなど低ベータ銘柄を投資対象に選んできたことは皆さんもよくご存じでしょう。
論文によると、バークシャーの好成績はこれらの銘柄選択だけではなく、平均して60%のレバレッジをかけてきたことも大きな要素である、とのこと。

そのカギとなるのは初期に多額の資金を投じた保険事業でした。

保険事業は事前に保険料を徴収し、後で保険金を支払います。
これは見方を変えれば保険契約者からの借り入れです。


バークシャーの「借り入れ」コストは平均して約2%。
この間、アメリカ国債金利が5%程度でしたから、それだけで運用成績を3%も押し上げることにもなりますね。


保険事業による借入という安定した資金調達のおかげで、バークシャーが市場平均を下回った90年代後半にもバフェットさんが資金繰りに困ることはありませんでした。
むしろそこでさらに積極的に買い増すことで運用成績を高めさえもしたようです。


論文によると、この「低ベータ銘柄への投資」と「保険事業を利用したレバレッジ戦略」でバークシャーのあの素晴らしい運用成績のほとんどを説明できる、とのこと。
何かちょっと夢のない話でもありますね。



まぁ私はバフェットさんのような運用能力などありませんし、レバなしで、のんびりマイペースでやっていくのみ、なんですが。
年利回りも一応10%目標でやってますが、6〜8%程度で回ればまぁ十分かな、とも思ってますし。

バフェットさんのように平均で年20%超、とか目指す気も起きません。

今のペースでも60歳時点で4億くらいには届きますしね。
まぁ実際には結婚して家族をもてば「今のペース」は難しくなりますし、最終的に1億行けば良し、と思ってますが。


とりあえず自分の趣味とはいえ、あまり高ベータ銘柄に偏ることのないように、その点だけは改めて留意しておこうと思ってます。



※参考記事:JBプレス「ウォーレン・バフェット成功の秘訣」
( http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36233 )





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