新手の金融商品が注目だそうです。

〜資産運用で「リスク・コントロール型」と呼ぶ新しい分散投資の手法が注目され始めた。リターンの獲得よりも過大なリスクの回避を優先。市場の変化に合わせて資産の配分比率を機動的に見直し、安定した投資成果が得られる運用を目指している。〜

11/14日経朝刊マネー&インベストメント面の記事です。


リーマン危機時に株式や債券など多くの資産が同時に急落し、伝統的な分散投資が肝心な時に機能しなかったことについて「資産の組み入れ比率と、リスクの大きさの比率に大きな偏りがある」点を指摘、さらにそれに伴い「従来のバランス型投信や年金基金のように配分比率が固定的な運用ではいつの間にか過大なリスクを負いかねない」として、リスクコントロールの重要性を説いています。

そして具体的な例として「野村DC運用戦略ファンド」を紹介しています。

ファンド全体のリスクを一定に保つため、10種の資産の組み入れ比率を環境に応じて頻繁に入れ替え、外貨建て資産については為替ヘッジをかけたり外したりして、年率3〜5%のリターンを目指す、とのこと。


個人的には、正直、ウンザリというか、「また新手のゲテモノが登場してきたな・・・」という感じなんですが。


まず大前提として、私は「伝統的な分散投資が肝心な時に機能しなかった」という認識を共有していません。

確かに、リーマンショック時、株式市場の暴落と同時に債券も同じく暴落しました。
コモディティやREITも同じく暴落し、あの瞬間に限定して言えば、確かに分散による効果はほとんどなかった、と言えるでしょう。

でも、デイトレなど短期売買で幅広くさまざまな資産に分散して戦っている人って、果たしてどのくらいおられるんでしょうか?
彼らはむしろ株なら株、コモディティならコモディティで、自分の得意な分野に特化して、レバレッジをかけて戦っているイメージがあります。
そもそも彼らは値動きこそが利益の源泉であって、下げ相場でも全く問題はないはずです。

自分のパターンと外れれば条件反射でロスカットするはずですから大きなダメージを受けることもありません。


分散効果について考える必要があるのは長期スタイルで取り組んでいる投資家だけのはずです。
そもそも、そのための分散投資ですよね。

ならば瞬間的に分散効果が出ないことに何か問題が発生するのでしょうか。

リーマンショックでまず問題になったのは流動性の危機だったわけですから、あの瞬間に関して言えば、「キャッシュ最強!!」でしたし、すべての資産が投げ売られるのは当然です。
でも、その後に起こったことは大幅な政策金利引き下げと、流動性供給のための中央銀行による国債等の大量買入れ、そしてそれに伴う債券高でした。

その瞬間、は機能しなくても、多少の時間差をおいて、分散投資はその効果を発揮したんです。
この記事の議論はそもそもの大前提が間違っているように思えます。


さらに「10資産で配分比率を頻繁に入れ替え、為替ヘッジもかけたり外したり・・・」って、売買の回転率が跳ね上がって売買手数料がかさむばかりに思えてしまいますが。

実際に、この「野村DC戦略運用ファンド」の信託報酬を見てみると年1.26%+その他費用。
まぁ野村にしては良心的と言えなくもない水準ですが、想定リターンが3〜5%でこの手数料とられたら、ねぇ。
正直、あまりにバカバカしいな、と思ってしまいます。



日本で関係各社が本当に投資家のためになる商品の開発を競う時代、はまだまだ遠い未来になりそうですね・・・・。





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