投資信託批判の批判・・・のまた批判。
優待株が全然指値にかからず、ヒマなものでたまには趣向をかえて投信の話題でも。
最近、投信を売る側の立場にたったような内容のコラムをあちこちで見かけるようになりました。
インデックスファンドの有用性が広く認知されるようになり、危機感を抱いた販売側が必死の反論に出ている・・・・ならそれはそれで喜ばしいことなんですが、毎月分配型とか通貨選択型全盛の現状をみるととてもそうは思えません。
これらのコラムが続々出てくる背景には何があるんでしょうね。
ただ、惜しむらくはその内容というかレベル。
めちゃくちゃ薄っぺらい主張で、ちょっと投信の知識をもった人なら簡単に反論・論破できてしまう程度の子供だましなものばかりなんですよね。
もう少し「なるほど、そういう考え方もあるのか」と思わせてくれるようなものが一つでもあればいいんですが。
例えば今日、ヤフーファイナンスで見かけたこのコラム。
http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20120427-00000008-argent-column
投資信託について
１． コストが高い
２． もうけさせてくれない
３． ほとんどの投信は負けている
という３つの「よくある批判」をとりあげ、反論しています・・・が、全然反論になってません（汗）。
１． コストが高い
「現実に、自分の力で世界中の株式市場から自分の投資対象となる銘柄を選んで投資するとしたら、どれほどの費用とお金がかかることでしょうか？専門家を活用して、世界分散投資をするのなら、投資信託のコストは必要悪です。」
これについては全くもっておっしゃる通り。
私は英語の決算書なんか全く理解できませんし、海外の情報をつかむ術ももっていません。
英語ニュースも読めないので、日本のテレビニュースや新聞報道を通じて、あるいはたまにＦＴやエコノミストの日本語訳コラムを読む程度。
なので海外株式への投資は自力ではとても無理で、投資信託にすべてをお任せしています。
そのためのコストはおっしゃる通り「必要悪」として受け入れています。
しかし、当たり前ですが、それには限度、ってものがあります。
「必要悪」だからどんなコストでも受け入れる、なんてことはあり得ないわけで。
少なくとも、買付手数料３％だの信託報酬１．５〜２％なんていう水準は論外です。
筆者の方が買付手数料無料、信託報酬０．５％程度の投信を想定して「必要悪」と言っておられるなら、まぁわからなくもないんですが、この文章からはそういう空気は読みとれません。
「投資信託はもうけさせてくれない、という批判も聞かれます。投資信託で損をした、だから投資信託は良くないという経験論です。しかし、買った時期、買った銘柄を聞くと、それは銘柄株を買っていても、ETFを買っていても、損をしていたはずです。投資信託に損をさせられたのではなく、マーケットに損をさせられたのです。」
この論点に関しては、反論のための反論というか、かなり苦し紛れにもってきた感すら漂いますが・・・
この主張に関して言えば、投資というもの自体を理解していない初心者の批判という感じでわざわざこんな批判をもってこなくても、という気もします。
単に相場動向で損したのを投信のせいにしているのでは話になりませんが、問題はバカ高い手数料によって、相場動向に関係なく運用成績を大きく蝕まれてしまう点。
そこは明らかに「マーケットに損をさせられた」のではありません。
「ほとんどの投資信託は負けている、ということは事実です。確かに、市場平均（マーケットインデックス）に勝てる投資信託はごく限られています。その事実は、プロの専門家が投資をしていても、市場平均に勝つことはむずかしいということを思い知らせてくれます。
しかし、だから投資信託はダメなのだ、という思考法は私たちを幸せにしてくれません。優秀な投資信託があるのなら、それを探せばいいわけです。」
ここまで来ると、もう笑ってしまいますね。
優秀な投資信託を探しだすことができるなら最初から何の苦労もないんです。
数年にわたって優秀な成績を挙げた投信、なら簡単に探し出せますが、その優秀な成績がその後も続く保証はないですし、むしろその「好成績」によって一気に大量の資金が集まって小回りの利く運用ができなくなり、運用成績が急降下・・・なんてよくある話です。
そもそも「探し出す」労力を省くことも投信を利用する大きなメリットの一つだったりもするんですよね。
そりゃぁピーター・リンチのマゼランファンドみたいなのをつかまえられれば最高ですけど、あのレベルの投信がはたしてどれほど存在することか。
それをきっちり見分けてつかまえる能力もなければそれを探し出す労力もかけたくない、ということで次善の策として、少なくとも手数料は安くて市場平均程度の成績は上げられるインデックスファンドを利用しているんです。
もう少し、まともな内容の反論を聞かせてほしい、もっと言えば、こんなくだらない反論してるヒマがあったら本当に投資する価値のある、まともな投信をつくる努力をしてくれ、って感じですね。
