黒田金融緩和の副産物。

黒田さんの金融緩和からもう5年。

資産的には全面的に恩恵を受けつつも、当初から変わらず否定的な見解を持ってる私ですが。

「いくら緩和されたって、資金需要がないのに貸し出しが増えるわけねーやろ。」
ってのが率直な感想でした。
それは間違ってないと今でも思ってますが、同時に、それは株式投資家としての私の見解でもあり。


昨年、不動産投資に一歩踏み出し、いろいろと勉強していく中で、また違った景色も見えてきました。


貸し出しは増えてたんです。
確実に、というよりむしろ急激に。

ある一ジャンルだけですけど。

そこには確実に大きな資金需要がありました。




不動産投資をやったことのない方でも、ちらほら耳に入ってきてはいるんじゃないでしょうか。
そう、サラリーマン大家さんってヤツの大増殖です。


銀行の側からすれば、ある意味、これって理想的な貸し出し先。
購入物件を担保に融資するんで、それだけでも焦げ付きリスクは緩和されますし、
「ぶっちゃけ、投資で失敗しても本業(サラリーマン)の給与収入から取り立てればいい」
と考えればとりっぱぐれはありません。

中小企業の事業に融資するよりはるかに安全で、しかも金額も大きい、理想的な話なんですよね。


これに不動産業界が乗っかり、高年収のエリートサラリーマンをはめ込んでボロ儲けしようとしたのが昨今の状況です。


黒田さん、あなたがやりたかったこと、実現したかったことって、この状況ですか?


・・・って考えると、ちょっとむなしさも感じてしまいます。



投資家の側も大きな問題を抱えてますよね。

地方の一棟RCマンションをフルローンで購入して、数年で資産○億円、アーリーリタイヤで海外旅行三昧な夢の生活!! とか。

いい年こいた、社会経験もあるはずの大人が無邪気にそんな話に乗っかっちゃうって、もうアホちゃうかと。

不動産投資の知識がなくても、常識で考えれば分かりますよね。


建物は老朽化します。
老朽化すればその分、値下がりします。

2億で買った物件で10年間で1億円の家賃収入があって、10年後に売却したら1億円に値下がりしてた・・・。
これじゃ投資する意味がありません。


家賃収入にしたって、ずっと満室が続くわけじゃないし、空室リスクもあれば退去時には原状回復費用も入居者募集の費用もかかります。
家賃収入そのものも年々値下がりしていきます。
10年もすれば多額の費用を伴う大規模修繕も発生します。

そもそも、売ろうとしたところで、○億円なんてサイズ、現金一括で買ってくれる人なんてそうそういません。
その時期がちょうど銀行の融資姿勢がイケイケな時期に当たっていなければ売却することすらできないんです。


「資産○億円!!」って、それは自慢するようなことじゃありません。
資産の反対側に、いくらの借金を抱えてんのよ、純資産はいくらなのよ、って話です。
ついでにその「資産」とやらは購入した金額ですか? それともその金額で売却できる金額ですか? って話もありますけどね。


2億の借金して年収が2千万とかで返済が1千万強とか。
差し引きでの利回りが10%弱?
それに各種費用があって、高い税金もとられて、最後は老朽化による値下がり・売却損が待ってる、と。
それって実質の利回りいくら? そもそも投資として成立してんの? って。


適当に優待込利回り5%くらいの優待株買って、そのままほったらかしとく方が手間もかからないし、内部留保が将来の潜在的な値上がり圧力になることも計算に入れればはるかに有利じゃね? と思いません?


まぁまだ不動産投資に関しては若葉マークを外せない人間のたわごとかもしれませんが。



少なくとも、実際にやってみて、これだけは確実に言えます。
不動産投資は「投資」じゃありません。

「事業」として取り組む覚悟がなければ、まず成功できません。
不労所得」だと思って軽い気持ちで始めたりしたら、行きつく先は南の島じゃなくて西方浄土の彼方です。



「自己資金ゼロから数年で資産○億円を築いた私の方法!!」的な本が巷に溢れてますが、そんなもん幻想です。
ぶっちゃけ、その理屈なら誰か私に金貸してくれる大金持ちがいれば、私も今この瞬間に「資産○億!!(借金も○億!!)」達成ですよね。


・・・えーっと、なんか途中から話が変わってきちゃった気もしますが、とりあえずそんな感じで(汗)。

今日はレーザーテックを4株だけ利確してみました。
さらに値上がりしたらまた4株だけ利確してみます。