養分補給と収穫のお話し。

最近、株系イベントにいくつか参加させていただきました。

「どんな感じのイベントなのかなー」的な軽いノリで、手ぶらで参加した私ですが、参加者のほとんどがメモ帳・筆記具にタブレット四季報持参は基本で、各自で作成した自己推奨銘柄のレジュメまで用意してるとか、気合と熱意の差で圧倒されまして(汗)。

いやーせめてメモ用紙と筆記具くらい持ってけよなー自分。。。




まぁいい刺激はいただきましたが、その一方でちょっと気になったことも。



参加者の少なからぬ方が、
「今年は運用成績が冴えないので後半戦頑張らないと・・・」
というような主旨の発言をしておられたこと。


短期売買組なら分かりますけど。
長期組が「今年後半の成績」とか気にすんの? と。


何かちょっと、すごい違和感を感じました。
どーでもいいことを熱心に勉強してるわりに、根本的なところで間違ってたりしません?
(上から目線ですんません)





まだ経験の浅い初心者の方に知っておいていただきたいことがあります。



投資家に豊かな恵みをもたらす株式市場は、その原資として、養分を蓄える時期を必要としています。


農業の話ですが、一つの畑で二毛作・三毛作を継続して行うと、土地はやせ衰えてしまいます。
十分な肥料を与え、一定の休養期間を与えないと、豊かな恵みは得られない土地になってしまいます。

かつてのヨーロッパでは一年間牛を放牧し、土地を休ませつつ、牛糞などの養分を補給し、再び恵まれた土地にして、また農地にする、というサイクルが行われていたそうです。



株式市場も同じです。
ずっと参加者に豊かな恵みを与え続けることなどできません。

ある一定の期間、市場に養分補給が行われる必要があるのです。




その「養分」とは、多くの場合、新規参加の初心者さん。


株価が大きな上昇相場を迎え、億り人が続出する中、そんな成功神話を耳にして「私も目指せ億り人!!」と鼻息荒く参入してくる初心者さん。
もう相場も上がり切って、あとは下がるだけだってのに。



その一方で、養分になること自体は、実は悪いことではありません。

誰しもが通る道でもありますし、投資した大切なお金が短期間に2割、3割、場合によっては5割6割と目減りしていく暴落相場の恐怖・底なし沼に堕ちていく感覚は、投資家として絶対に経験しておくべき貴重な体験です。
この実体験・恐怖感を身をもって知っていることはこの先、生涯にわたって大きな武器になります。



でも、その貴重な経験を武器にできる人は少数派なのも事実。

上がり切った一番上ではなく、8合目・9合目くらいで参入してくるため、買った直後は中途半端に利益が出てしまったりします。
それを「もしかして自分は株の才能があるのかも?」と勘違いして、よせばいいのに投資金額を増額して。

そして過大な規模まで投資金額を膨らませた挙句、大きな深傷を負い、退場に追い込まれて
「もう株なんて二度とやらない!」
なんてオチは世界中で見かける光景といえるでしょう。




結局、彼らがしたことは市場に養分を供給して去っていっただけ。
まぁ私たち既存の投資家からすれば感謝あるのみですがw




株式市場には、そんな「市場が養分補給を必要としている時期」があるんだ、ってこと。
認識できているのとできていないのでは、大きな差が生まれます。

そして、かなりの確率で今はその時期である、ってことも。




過度に恐れる必要はありません。

もちろん、この時期は手出しすることなくやり過ごし、暴落を待って参戦する、というのも立派な選択肢の一つです。
でも、私はそれはもったいない、と思います。

やっぱり多少の出血を伴ってでも、暴落相場の恐怖は経験しておく価値があります。
身をもって、大切な自分のお金を削られる痛みと恐怖を伴いながら。


無理のない、最大損失を受け入れられる金額で。
毎月○万円の積立方式で。
そして、ここが大事なポイントですが、そんな大暴落が起こっても心折れず、恐怖に動けなくなったりせず、同じ金額を継続して毎月投資し続けられる金額で。



リーマンショックのような大暴落は、一瞬では終わりません。
大底をつけた後も、長く、先の見えない低迷期がいつ終わるとも知れず続きます。

リーマンショックは2008年10月。
アベノミクス相場の始まりは2012年末から13年初頭にかけて。

4年もの間、全く光も希望も見えない低迷期が続きました。
むしろその間はまだまだあと10年くらいはそんな低迷期が続きそうな雰囲気がありました。

その間、心折れずに投資し続ける必要があるのです。
そこまで想定しての、無理のない金額でなければなりません。



この時期、「砂漠に水をまいてる感覚」がけっこう長く続きました。
投資資金がそのまま含み損に変わる、そんな感覚。

例えば時価総額1千万で、新規に15万投資したのに株価下落で含み損が15万増えて、時価総額は1千万のまま。
翌月も15万投資したのに、またさらに含み損が15万増えて、やっぱり時価総額は1千万のまま。
翌々月はボーナスが出て、35万投資したのに株価がさらに大きく下落して、含み損が35万増えて・・・


こんなのが半年とか1年とか続くと、ホント心折れそうになります。

砂漠にいくら水を撒いても、まるで無駄なんじゃねーのかと。


でも。

吸収されても吸収されてもくじけずに水をまき続け、いつの日かついに砂漠が水を吸収しきれなくなった時。
そこに豊かなオアシスが生まれます。


多くの人が市場の養分となり、自分の新規投資資金も養分となり、気づかないうちに土地はその豊かさを回復し、収穫の時期は突然にやってくるものです。
その瞬間、その時までそこに居続けなければ、その収穫の恩恵にあずかることはできません。
多くの方が、養分となっただけで収穫に立ち会うことなく退場していきます。

生き残った者だけが享受できる果実。
それは楽しみに思い描いていたよりもずっと、大きな大きな果実です。


そして土地は再び養分を必要とするフェーズへ入り、「こんな大きな果実が収穫できた!!」という喜びの声を聞きつけた新規参加者がまた大挙してやってくる。。。

自分は市場から「養分」として必要とされている、なんてまるで自覚もできないままに。






株式市場はこんなサイクルで動いています。



ファンダメンタルがどーとかテクニカルがこーとか、巷ではさかんに議論がかわされてますが。

そんなもんより、こういう養分補給と収穫のサイクルをしっかり認識しとく方がよっぽど大事なんじゃねーのかと。
私はそう思ってしまいます。











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