配当貴族戦略はダメ?
ネットの一部でちょっと話題になってたコラム。
「何か変だぞ?今話題の配当貴族インデックス投資」に潜む罠=東条雅彦 (http://www.mag2.com/p/money/231893)
近年、アメリカ企業の連続増配銘柄のバイ&ホールドというベタな手法が注目され、それに関連したブログも増えてきた中で、それに対する警鐘というか問題提起のコラムなんですが。
著者の方はバフェット信者さんらしいですが、個人的には説得力を全く感じませんでした。
論理構成がめちゃくちゃに思えてしまって。
ていうか、正直、読む価値ないでしょこのコラム(汗)。
せっかくなんで、ワタクシなりの反論でも。
真っ先に気になったのは、高配当戦略がS&P500指数を下回った例として、リーマンショック周辺からのデータだけで結論を出してしまっていること。
個人的には「そりゃぁそんなこともあり得るでしょ」としか思えないんですが。
9.11同時多発テロとか、ブラックマンデーとか、その他いろいろあって、そのたびに高配当戦略の方が結果として良かったり、その逆だったりがあって、トータルでどうなのよ、ってところでJ.シーゲル博士は1957〜2003年の長期間データを用いてるわけです。
それに対する反論がリーマンショックからの10年だけ、って、その時点で説得力ゼロじゃないでしょうか。
高配当戦略がS&P500を下回る要因として、コラム2ページ目でこんなことが書かれています。
(以下引用)
S&P500には、Alphabet(Google)やAmazonなどの配当金を出さない超・成長銘柄も含まれます。超・成長企業は配当金を出さずに、資金の大半を自社ビジネスへの投資に充てます。そのため、売上高と利益が右肩上がりに増えていき、株価も将来の成長を見込んで、大幅に上昇していく傾向があります。
インカムゲインは少ないかもしれませんが、キャピタルゲインが多くあるのです。
一方、高配当銘柄は歴史があって大型の企業が中心になります。そのような企業は配当金を安定的に株主に還元する一方で、成長力では新興企業が中心の超・成長銘柄には勝てません。
ものすごくざっくりとした言い方をすると、高配当戦略はキャピタルゲインを犠牲にしてインカムゲインを重視する戦略です。(引用ここまで)
・・・えっと、絶句するレベルで見当違いです(汗)
「S&P500には、AlphabetやAmazonなどの超成長銘柄も含まれる〜(ので)キャピタルゲインが多くある」
その理屈で言えば、S&Pでもなくて、直球でAlphabetの個別株に投資すればいいんじゃないですか?
なんで皆さんそうしないか、って、そりゃぁこの手の銘柄は当たり外れが激しくてハイリスクになってしまうからですよね。
上記2銘柄のような大成功銘柄もある一方で、第二のグーグルと期待されながら全くダメだった銘柄も当然含まれてくるわけで。
「高配当戦略はキャピタルゲインを犠牲にして〜」
もかなりずれた見解に思えます。
このコラムの最初のお題って、「高配当戦略」じゃなくて「配当貴族」でしたよね?
単に高配当なだけではなく、長期にわたって連続増配を繰り返す優良銘柄群。
その手の銘柄であれば、増配を繰り返すにつれて当然、株価も切り上がってきてるはずです。
10年後、20年後にはそれ相応の含み益を抱えているでしょうし、「キャピタルゲインが犠牲になっている」とはとても思えません。
高配当戦略の欠点として、「税金が運用成績をむしばむ」という意見は全くその通り。
ただし、「だからバークシャーに投資した方がいい」というのは全く賛成できません。
配当金として受け取るよりも内部留保として次の成長に回った方が税金がかからない分、明快に有利です。
でも、それは投資対象が順調に成長を重ね続ける前提での話。
自分の銘柄選択眼に100%の自信があるならそれでいいでしょうが、少なくとも私は自分の眼にそんな自信は全く持てない凡人です。
ならば自分の予測が外れた場合の保険として、高配当は有効な緩和剤になり得ます。
税金分のコストをかけてでも、私はその保険がある方がいいです。
そして何よりも、この方が推奨しておられるバークシャーへの投資。
ここまで来るとカルト宗教のレベルですが。
もちろんバークシャーの過去の実績については全面的なリスペクトあるのみですが、私はこれが今後も続くことに多くを賭ける気にはとてもなれません。
一言で言えば、
「バフェットさんってあと何年生きてるのよ」
って話です。
バフェット後の運用体制についても考えてはおられるんでしょうが、それが本当にうまく機能するのかどうか、ってのはぶっちゃけ、実際にバフェットさんがお亡くなりになってみないと分からない話です。
私はアメリカ株についてはVOOがメインで、VYMは一桁少ない投資額になっていますが、日本株については高配当株メイン。
高配当戦略の優秀性も認めつつ、でも単純にVOOは商品として極めて優秀、投資家ならぬコレクター(?)としてはVTと並んで主力レベルで持たないわけにはいかない銘柄です。
単純にVOOに投資するのとP&Gやコカコーラなどの配当貴族銘柄に分散投資する高配当戦略と、どっちが優れているのか正直、結論は出せないでいます。
もっと言えば出せないままでいいと思ってます。
どっちも優秀な戦略であることは間違いないですし、自分の人生に直結する今後の20〜30年に限定して言えば、どっちのパフォーマンスが上回るか、なんて結果論でしかありません。
ただ一つだけ自信を持って言えるのは、このコラムの内容はちょっと違うんじゃね?、ってことですね(笑)。
ついでに私がバークシャーに大きなウェイトを投資することもない、と。
バフェット信者の端くれでもあり、コレクター魂は揺さぶられますけど。>バークシャー株